バックナンバー>>2010年01月08日

今回のテーマは
『リアル・サンタ』です。

↓↓↓フィクションです(超久しぶりに短編です)↓↓↓

毎年この時期は侵入しやすくてこの上ない。
私の職業は泥棒。このクリスマスイルミネーションの時期に年間の2分の1くらいの収入がある。

なぜこの時期が侵入しやすいかって?
イルミネーターが家の周りをイルミネーションするじゃん?あれの電源コードはだいたい屋内だから鍵がかからない窓やドアがあるわけよ。そこからおいとまするという、まさに"光と影"だな。

最初は1回やったら辞めるつもりだったんだ。でも実際たくさんお金が入った財布やバーキンなんかを簡単に手に入れられちゃうとこりゃーもうたまらんわけよ。逆に一般家庭だから大物もないけどな。去年なんかバーキン2つ一気にゲットしたんだけどよ、それ質流しで60万だよ。でも片方はニセ物で6千円だよ。見た目は変わんねーしどっちかっていうとニセ物のほうが重くてよく使ってるっぽかったけどな。

お、今日も日が暗くなってきたわ。さーてこの住宅地で今日の獲物を物色するかな。

今日もいつもどおり軽トラで住宅地を回る。それだけ聞くと怪しいかもしれねえがこの軽トラは某輸送業者と瓜二つの塗装をしている。一般人にはそれと区別がつかないんだ。この前なんてその輸送業者のやつが仲間と見間違って挨拶してきたからな。

イルミネーションで戸締り甘くするやつもそうだけどよ、世の中適当なやつがいかに多いことか。まぁそいつらいねえとオレの商売成り立たねえけどよ。

そんなことを考えていたら小腹が減ったので甘党なオレはコンビニでキットカットのでかいパックとパイの実、きのこの山を買った。最近、きのこの山は1個1個の大きさが小さくなった気がする。

今日はまずここだな。
時間は26時。ちょうどよい。要塞のような大きな家の道路側2面がイルミネーションで埋め尽くされている。センスはない。逆に規模が小さくてもセンスあるイルミネーターがやったイルミネーションはなんとなく印象に残る。

ふっといケーブルが容易に下から確認できたのでそれをたどると簡単に侵入できた。

そっか今日はクリスマス・イブか。
真っ暗な部屋は飾り付けがされていてところどころにクラッカーの飾りがまとわりついていた。

暗い中、一段と暗い遺影に眼がとまった。まだ若かったであろう、そして優しかったであろう表情がうっすらとうかがえる。
クリスマスカードが添えられ、
『パパサンタ、ことしもゆめでまってるからね』

....。

もともと侵入中は声を出さないが、この瞬間は絶句したよ。
「夢でって...。」

少し奥へ進み、子供部屋と思われる部屋のドアノブには小さな靴下がひっかかっていた。ようするに、まだそんなに大きくないであろう子供が、パパと夢で逢えることを祈って眠っている。

オレはなんか熱いものが全身からこみあげてきて静かに自分のバッグを漁った。さっき買ったキットカットなどのお菓子があった。

なぜか今日のコンビニの袋は靴下型(ブーツ型?)だったのでそのままドアノブにそうっと吊るし、その家を後にした。

一見派手で幸せそうな家にも色々あるんだなーとおもいつつ、車に戻るまでの間に"今日こそもう辞めよう"と強く心に誓った。いや、誓えた。あのクリスマスカードのおかげで。

今までの罪を償う意味で、「地味な仕事でいい、苦労をして地道に生きていこう。そしていつかあんな子供がいる家庭を築けたらいいな」と思いながら軽トラに向かった。

乗り込もうとした瞬間、背後から声をかけられた。
「こんばんわ、ちょっといいですか?」
まぶしいライトを向けられ、よく見えない。
「警察です。この時間に配達ですか?」
「いや違うよ。」
「怪しんでいるわけではないんですが、ちょっと荷台見せてもらっていいですか?」
「いいよ。」
「これあなたのモノじゃないものが沢山ありますよね?、ちょっと署までご同行願います」



「なぁ おまわりさん、何でサンタは赤い服着てるか知ってるか?」
「いいえ、知りません」
「全身から熱いものがこみあげてプレゼント配ってるんだよ。だから赤いんだ。」
「は?」

以上、『戸締りご用心』〜鍵紛失名人〜管理人でした

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